設立趣意書
現代社会において企業や行政機関は、日常的に顧客情報、人事情報をはじめとする個人情報、社外秘文書、法令規程文書、或いは行政文書など、多種多様な機密文書を排出しています。とりわけ、平成15年4月に個人情報保護法が制定されたのを契機に、機密文書の管理と安全な処理への社会的関心が一気に高まり、その後情報セキュリティの管理策や運用をテーマとしたISO/IEC27001やプライバシーマークの普及、グリーン購入法における機密文書リサイクルの調達品目への追加もなされ、機密文書処理サービス市場が形成されてきました。
機密文書処理サービス市場では大きく二つの特徴がみられます。企業や行政機関内で、排出者自らシュレッダー処理を行うなど、機密情報の抹消を自己完結できる場合を除き、リサイクルすることを前提として機密情報の抹消を請け負う業者がこの市場を担い、専門業者だけでなく、廃棄物処理業者、古紙問屋、資源回収業者、倉庫会社、運送会社、製紙会社など多種多様な業種が参入していることが特徴の一つといえます。所属する業種が異なる機密文書処理会社は、それぞれの関わりの中で事業を展開しており、そのため、機密文書処理の業界団体は現時点では存在しません。もう一つの特徴は、企業や行政機関の保有する機密情報の記録媒体は文書等の紙媒体のみならず、コンピューターのハードディスク、メモリースティック、CDROMなどさまざまな素材の媒体に記録されています。また排出元に応じて、機密情報として扱うものの違いや、記録媒体が異なることもあって、その取扱い基準は一定ではありません。
よって、機密情報を抹消し記録媒体を処理する業者は、つぎの二つの要件を満たす必要があります。一つは、セキュリティの確保です。機密情報は、許可された者以外の目に触れることなく確実に抹消される必要があります。もう一つは、資源の循環です。どのような記録媒体であっても、可能な限り二次原料として利用していくことは、循環型社会の形成という社会的要請を満たす上で重要な要件です。
こうした状況にあって、平成26年3月、公益財団法人古紙再生促進センターは紙媒体に記録された機密情報の安全な抹消と資源の循環という観点で、処理業者のための「リサイクル対応型機密文書処理ガイドライン」を策定しました。このガイドラインは、前述のセキュリティの確保と紙資源の循環という二つの原則を基本とし、機密文書処理の手続きを規定したものです。今後は、収集運搬、破砕、溶解などすべての機密抹消に関わる業者を対象に、そして機密文書を排出する企業や行政機関に対してもこのガイドラインを普及し、セキュリティとリサイクルの両立させた適正処理をすすめ、さらに市場を拡大させていく必要があります。
今回設立する運びとなった機密情報抹消事業協議会は、ガイドラインの普及と拡充を基本とし、機密抹消に関する情報収集と提供、国内外の関係機関との情報交換などを通じて、利害関係を超えて、信頼される機密文書処理市場の形成を目標とするものです。さらには、このガイドラインの対象とする記録媒体を拡大させ、情報媒体全般に対する機密抹消の業界団体として市場をリードしていきたいと思っています。
なお、協議会は任意の業界団体として設立しますが、将来的には認可法人を目指し、組織を発展、拡大させ、広く社会へ貢献することができると考えます。
機密情報抹消事業協議会の設立、今後の活動を通じ、機密文書処理市場の健全な発展に寄与すべく「志」を共にして下さいますようお願い致します。
平成26年7月1日
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